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料理=高山なおみ
一番好きな、料理家さんです。
高山さんのレシピは、工程がまるで(読みもの)のようで、
読み進めていると
自分の家の台所で、いつもの道具を使いながら作業していく様子が
自然と想像できてくるから、不思議です。
読み終わったら、すっかり作った気分になって
料理の香りすら感じてしまうくらい(笑)。
レシピはもちろん、それにまつわる文章もたくさん入っていて楽しめます。
夏みかんでつくるマーマレードの作り方を載せているページに添えられた文章。
「夏みかんの皮を刻んでいると、
すがすがしい香りがシャワーみたいに広がる。
たっぷりの湯で皮をゆでるときも、
砂糖を加えて煮るときも、
換気扇はわざとつけない。
窓が蒸気でくもる。
これもまた、年にいちどのたのしみ。」
わたしも料理をするときに換気扇をつけない、というか
つけ忘れていることが多い。
夫に「台所煙っとるよ~!」と言われて、
ハッと気づくことがよくあります。
鍋の中から沸き上がる匂いや湯気を余すとこなく
吸いこみ感じたい、のだと思います。
「夕食の前にお風呂」が我が家の習慣なので、
せっかく洗った髪に、炒めものの油っこさや
魚臭さがつくこともしばしばなのですが、
夜ふとんのなかで、そんな髪のにおいをクンクン嗅いでいると、
また明日は何を食べようかな~・・・と、
食べたいものを考えたり、
冷蔵庫の食材に思いをはせながら
すこしワクワクした気持ちで、眠りにつくことができるのです。
全体を通して・・・
料理に正解はないよ。
その時、体と心に食べたい味を聞きながらつくる料理こそが
ごちそうだよ、というメッセージに、
料理がどんどんと軽やかに、近しいものと感じる一冊です。
今夜の晩ごはんは、わたしの食べたかった豚キムチと
夫リクエストのブリのお刺身、そして畑で収穫したエシャロット。
変な組み合わせですが、食べたかったものたちです。
こんな日も、あるわナ~。