ぎりぎりまでがんばっていた夏も、ようやく退陣の模様。
後ろでつっかえていた秋は、いきなり本気の形相。
そんな今年の季節の移り変わりを思っていたら、流しの下に夏の忘れ物があることを思い出した。
夏の始め、まだ梅雨を迎えたかどうかという頃の梅しごとー。
初めての梅しごとだったので、難しそうなものは避けて簡単なハチミツ漬けをこしらえた。
ひと月後、あがってきた黄金色のシロップはマルシェにお出ししたりして、暑い日ののどを潤してくれて、あっという間になくなってしまったけれど、瓶の中に残った梅の実だけが流しの下にひっそりといたことを思い出したのだった。
ひとつ、しわしわのを手に取ってかじってみる。
ぱぁっと、青梅の清涼感が口に広がる。
後からハチミツの程よい甘さがまろやかに中和する。
刻んで、少し水を加えてから火にかける。
ジャムになるかと。
途中で、ミキサーにかけてなめらかにしてみる。
ことこと煮つめるあいだ、あついあついと文句を言いながらも大好きな季節が終わったことを寂しく思う。
この夏の出来事を思い出したりなんかする。
それらしく、煮詰まったジャムを瓶に詰めてきっちりとふたを閉めた。
今年の秋、冬はどんなだろう。
(発見したこと)
その1:
出来あがった梅ジャムの色は、奥ゆかしさを感じさせる〔うぐいす色〕。
あぁッ!
こんなところでも、梅とうぐいすは仲良しこよし。
その2:
「今日の予定」に入れていないことをする。
予想に反して、心を踊らせることができた。